排気装置の選定基準 3
 
先ほどのページで計算した結果をどのように使うか説明します。
(「ダクト式換気扇の圧力損失計算(簡略法)と静圧ー風量特性曲線の見方」の解説と同等です)
 
まず購入予定の換気装置の「静圧-風量特性曲線図」を探します。
基本メーカHPに記載があります。
ない場合近い形状、能力のある機種を参考にします。
 
例:「パナソニック FY-17CA6」機種の情報を見ると「静圧-風量特性曲線図」があります。
 
図4a. 静圧-風量特性曲線図

 
先ほどの圧力損失(+20%)・風量が「30Pa・20m³/h」だったとします。
そうしたら「静圧-風量特性曲線図」上で「30Pa・20m³/h」の位置を調べます。
 
図4b. 圧力損失(+20%)・風量の位置

 
図4c. 換気能力確認

 
黄色い斜線内が「パナソニック FY-17CA6」の能力です。
赤い点(圧力損失(+20%)・風量の位置)がはみ出しています。
残念ながら必要とする風圧・風量が無い機種である事がわかります。
あと「静圧-風量特性曲線図」と「特性表」を比べてみましょう。
「特性表」では換気風量33m³/hとあります。
「静圧-風量特性曲線図」で「風量33m³/h」を見ると「静圧0Pa」となっています。
基本的に性能上「風量」は「静圧0Pa」の時を基準としています。
今回の例では静圧と風量は斜めにまっすぐ引かれていましたが機種によって曲線を描く事もあります。
 
例:「パナソニック FY-24JG8T」機種の情報を見ると同じく「静圧-風量特性曲線図」があります。
図5a. 静圧-風量特性曲線図

 
先ほどと同じように「静圧-風量特性曲線図」上で「30Pa・20m³/h」の位置を調べます。
図5b. 圧力損失(+20%)・風量の位置

 
今度は黄色い部分に入っています。まずは基準クリアです。
次に残りの圧力損失の位置を書きこんでみます。
例:
圧力損失(+40%) 35Pa
...
圧力損失(+80%) 45Pa
 
図5c. 換気能力確認

まだまだ余裕がありますね。
圧力損失(+80%)の位置で緑の曲線を描いてみました。
残りの部分(紫)がこの換気装置での余力部分となります。
実際は紫のエリアの真ん中辺りで稼働すると思われます。
余力部分が大きければ大きいほど良いのですが予算と比例しますので、どのぐらい余力を残せば良いかがポイントとなります。
※この後の「排気装置の選定基準 4」にて、もう少し具体的な数値の見方が判ります。
 
 
ではどのぐらいが適切かというと「わかりません」。
今回このHPで行っている計算はオリジナルな為、みなさんに検証してもらわないと適正値がわからないのです。
(投げっぱなしで、申し訳ございません。)
ただし最低条件で「圧力損失(+20%)位置より上回っている換気装置を選ぶ事」だけは確かです。
 
 
基準として既製品の性能を調べてみましょう。
ネロブースは性能が「静圧:59Pa・風量:400m³/h・ダクトφ150mm」なので「三菱電機 BFS-40SG」が排気装置になっています。
サイズは「50cm x 50cm x 50cm」なので「排気ダクト直線換算:10m」で計算すると「圧力損失(+20%):29.19Pa・風量:340m³/h」となります。
 
図6a. 換気能力確認

結果は以上のようになります。実質は紫の楕円の辺りで動作する事になります。
ネロブースで不満があるという話はないので基準の一つとなるのではないでしょうか?
 
また36ブースProの場合、換気装置は「Hon&Guan HF-100」のようですが情報が無い為、
近い商品「Hon&Guan GF-200」を「排気ダクト直線換算:10m」で計算すると「圧力損失(+20%):29.19Pa・風量:100m³/h」となります。
 
図6b. 換気能力確認

結果は以上のようになります。同じく実質は紫の楕円の辺りで動作する事になります。
 
 
 
既製品のブースや自分が購入したい換気装置が決まったら
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